JAXA、「イプシロン」5号機打ち上げ成功
小型衛星9基を搭載、3度延期経て内之浦から打ち上げ
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は9日午前9時55分、小型衛星9基を搭載した固体燃料ロケット「イプシロン」5号機を、鹿児島県肝付町の内之浦宇宙空間観測所から打ち上げた。
JAXAは当初、10月1日に打ち上げる予定だったが、地上レーダー設備の不具合で直前に中止。その後も気象条件が整わず、計3度延期されていた。
5号機は全長26メートル、重さ96トン。打ち上げの約50分後に小型実証衛星2号機(RAISE-2)を高度570キロの軌道に投入した後、約20分かけ残り8基を順次投入、打ち上げは成功した。イプシロンの打ち上げ成功は5機連続。
RAISE-2は、三菱電機や東北大などが開発した部品や機器を載せ、実際に宇宙で使えるかなどを試す。他の8基は公募で選ばれ、川崎重工業の衛星は宇宙ごみ(スペースデブリ)除去に向けた実証実験を行う。木星の電波を観測するアンテナ展開技術を実証する衛星は全国の国立高専10校が連携して開発した。
JAXAが宇宙利用拡大に向け、大学や民間企業が開発した部品などに実証の機会を提供する「革新的衛星技術実証プログラム」の一環。同プログラムの衛星打ち上げは2019年1月のイプシロン4号機に続き2回目。
9日の打ち上げは予定より約4分遅れたが、JAXAによると、国際宇宙ステーションから帰還する星出彰彦さんらが乗った米宇宙船クルードラゴンなどとの接近を避けるためだったという。