改正銃刀法成立3ヵ月、クロスボウの回収進まず


950本回収も流通数不明、警察「原則所持禁止」呼び掛け

改正銃刀法成立3ヵ月、クロスボウの回収進まず

改正銃刀法により原則所持禁止となるため、北海道警が無償で回収したクロスボウ=9月28日、札幌市

 クロスボウ(ボーガン)の所持を許可制とする改正銃刀法が成立した6月以降、全国の警察は9月15日時点で950本を回収した。来年3月の施行を前に警察は無償で回収を進めているが、インターネット上での売買などを背景に、全体の流通数は把握できていない。「回収が進んでいるとは言い難い」と指摘する専門家もおり、警察は事件を防ぐため「原則所持禁止」を呼び掛けている。

 クロスボウは殺傷能力が高く、昨年6月には兵庫県宝塚市で4人が撃たれて死傷する事件が発生。これを機に改正法が成立し、来年3月15日に施行される。所持には公安委員会の許可が必要となり、用途はスポーツ射撃などに限定。不法に所持した場合は3年以下の懲役または50万円以下の罰金が科される。

 警察庁によると、クロスボウを使用した殺人や強盗致傷などの刑法犯での検挙件数は、2010年1月~20年6月で23件に上った。回収した950本の内訳は、愛知県警が最多の115本で、北海道警78本、兵庫県警65本と続いた。

 「日本ボウガン射撃協会」(東京都)の鈴木範夫常任理事は「競技用ボーガンが犯罪に利用されたことはない。許可制で所持者の身元が分かるようになるのは良い」と語る。

 一方、年間1000本以上がネットなどで販売されたとの情報もあり、警察庁などの担当者は「これまで規制対象ではなかったため、流通数や所有者数が把握できず、全体のどの程度回収できているか分からない」と話す。

 クロスボウの所持に関する警察庁の有識者検討会委員で、防犯に詳しい「ステップ総合研究所」(東京都)の清永奈穂所長は「回収が進んでいるとは言い難い。改正法の認知度もまだ低く、積極的な周知活動をすべきだ」と指摘する。

 警察での無償回収は、法施行後6カ月間実施。本体に加え部品なども対象で、処分依頼書の提出も求められる。全国の警察は「原則所持禁止」を呼び掛けるポスターをホームページやインターネット交流サイト(SNS)に載せるなどし、「所有者は最寄りの署に早めに相談して」と訴えている。