規制委が正式決定、島根2号機「新基準に適合」
福島第1原発と同型では5基目、再稼働時期は見通せず
原子力規制委員会は15日、中国電力島根原発2号機(松江市)について、再稼働に必要な新規制基準に適合しているとする審査書を正式決定した。全国で17基目。島根2号機は東京電力福島第1原発と同じ沸騰水型軽水炉(BWR)で、同型では東電柏崎刈羽原発6、7号機などに続き5基目となる。
中国電は耐震補強などの対策工事を今年度中に終える予定。ただ、再稼働には地元自治体の了承が必要で、時期は未定だ。
中国電は2013年12月、2号機の審査を申請。審査では、地震や津波想定の妥当性が焦点となった。
同社は耐震設計で想定される揺れ(基準地震動)を600ガル(加速度の単位)としていたが、規制委の指摘を受けて敷地の南約2㌔宍道断層の評価を再検討し820ガルに引き上げた。想定する津波の高さも最大9・5メートルから11・9メートルに改め、海抜15メートルの防波壁で防護可能とした。
中国電をめぐっては6月、規制委から貸与されていたテロ対策施設に関する機密資料を誤廃棄し、約6年間報告していなかったことが判明。規制委の更田豊志委員長は15日、「安全文化の劣化の兆候と捉えるべきだが、(審査書に続く)保安規定の審査の中で、改善も含めて確認されることになる」と述べた。
島根原発は全国で唯一、県庁所在地に立地。事故時の避難対象となる30㌔圏内の住民は松江市、出雲市など島根県内4市と鳥取県境港市、米子市の計約46万人に上り、政府の原子力防災会議が7日、広域避難計画を了承した。