秋元司被告、証人買収で保釈中に異例の再逮捕
「前代未聞の司法妨害だ」と判決、次期衆院選に意欲も
カジノを含む統合型リゾート(IR)事業をめぐる汚職事件で、東京地裁から実刑判決を受けた衆院議員秋元司被告(49)。副大臣時代の収賄容疑で逮捕・起訴され、保釈されてから半年後に今度は贈賄側に偽証を持ち掛けた容疑で再逮捕された。公判や記者会見で無罪を訴え続けたが、判決は主張を一蹴。証人買収について「前代未聞の司法妨害だ」と指弾した。
秋元被告は衆院議員秘書を経て、2004年の参院選比例区に自民党公認で出馬し初当選。落選後の12年衆院選で国政復帰し、17年8月、国土交通兼内閣府副大臣に就任、IRなどを担当した。
東京地検特捜部は19年12月、IR参入を目指した中国企業から現金300万円と家族旅行費70万円相当の賄賂を受領したとして、同被告を逮捕。翌20年1月に再逮捕し、賄賂総額は約760万円に上った。
同年2月に保釈された秋元被告は、記者会見で「無罪を主張し、闘っていきたい」と宣言。国会にも出席したが、同8月には、贈賄側に報酬を提示して偽証を持ち掛けたとして組織犯罪処罰法違反(証人等買収)容疑で再逮捕された。
逮捕・起訴は計4回に及び、再び保釈が認められたのは1回目の被告人質問が終わり、公判もヤマ場を過ぎた今年6月。既に贈賄側、証人買収の協力者の有罪が確定し、「外堀」は埋められていたが、保釈後の会見では「起訴された全てが無罪」と強調し、次期衆院選にも「しっかり準備したい」と意欲を示した。
7日の判決は、被告の無罪主張を全て退けた上で「収賄に限って言えば、執行猶予の余地が残されていた」とあえて言及。「保釈直後から贈賄犯の買収という前代未聞の司法妨害に及び、その道も閉ざされた」と悪質さを断罪し、「最低限の順法精神すら欠如している」と切り捨てた。