北海道厚真町、被災木を再生し木工製品に
「ATSUMANOKI96」設立、林業発展へ有志6人が結束
震度7の揺れが襲い、大規模な土砂崩れをもたらした北海道地震から6日で3年。甚大な被害を受けた厚真町で、地元の有志6人が地震で倒れた木や被災した家屋のがれきを木工製品として再生させた。「震災を忘れない」との思いを込めた製品を通じ、林業発展への挑戦が始まる。
地震では、町内の森林約3200ヘクタールが倒壊。なぎ倒されたおびただしい数の木々を見て、その1年前に江別市から移住した木工業の鈴木大輔さん(40)は「とんでもないことになった」と衝撃を受けた。
「被災木を無駄にせず、使える形にして残したい」。鈴木さんと同じ願いを、町内の林業関係者も抱いていた。製材加工業の中川貴之さん(38)は、町の復興を話し合うイベントで、被災木で作ったまな板を披露。捨てられる木の再活用を提案し、鈴木さんら共感した仲間と動きだした。
メンバーの男性6人は、林業や木工業、木材搬出業など全員が森林に関係する仕事に就く。今年6月、一般社団法人「ATSUMANOKI96」を設立。各人が持つ技能を生かし、町有林の被災木などを原材料にまな板やフックを制作。代表の中川さんは「震災を忘れずに、生活の中で長く大切に使ってほしい」と話す。
メンバーらは6日夜、オンラインイベントで製品を初めて販売。今後は被災木にとどまらず、製材過程で廃棄される木材の活用や参加型イベントも計画している。「震災をきっかけとした取り組みから、森林業界全体の発展につながっていけば」と中川さん。仲間たちの夢は膨らむ。