車いすバスケ日本代表、走力を磨き米国に肉薄
素早い攻守の切り替えを徹底、未来を照らす銀メダル
車いすバスケットボールの最高峰の舞台で、頂点を争った日本男子。これで第一線を退く豊島英主将(WOWOW)が言った。「米国の背中が近かった」。米国に敗れて悔し涙を流すなど、以前の日本には考えられなかった。
この日も素早い攻守の切り替えを徹底した。すぐに自陣に戻り、インサイドへの侵入を許さない。米国に焦りが広がる。無理な体勢からのシュートはリングに嫌われた。
ボールを奪ってからの日本の攻めが速い。抜群のスピードを誇る鳥海連志(WOWOW)は「自分たちのスタイルが世界に通用することが証明できた」。第3クオーターを終えて46-45。最終クオーターも果敢にプレスを仕掛けて一進一退の攻防となり、最後は4点差で涙をのんだ。
これまでの日本の弱点は明白だった。ジャンプができない車いすバスケでは、身長差が如実に響く。海外勢の個の力に対抗すべく、走力と守備を徹底的に強化してきた。ベテランには、いばらの道でもあり、引退を考えた選手もいた。
エースとして君臨してきた藤本怜央(SUS)もその一人。右肘の手術も経験し、「プライドとかを全て壊した」。努力が結実した37歳は「この5年間が競技人生の一番の宝になった」とほほ笑んだ。
「本当に誇らしい12人だと思う」と京谷和幸ヘッドコーチ。堂々と戦い抜いて得た銀メダルは、日本の車いすバスケ界の未来を照らしている。