男子マラソン、永田務と堀越信司が銅メダル


上肢障害T46の永田、粘りの走りで盛り返し安堵の銅

男子マラソン、永田務と堀越信司が銅メダル

陸上男子マラソンでそれぞれ銅メダルを獲得し喜ぶ、視覚障害T12の堀越信司(右)と上肢障害T46の永田務=5日、国立競技場

 男子マラソン(上肢障害T46)の永田務(新潟県身体障害者団体連合会)は、粘りの走りで銅メダル。表彰台圏外に落ちた時間帯もあったが、終盤に盛り返した。胸をたたきながらゴールし、「何とか粘り通せた。最低限やり遂げられてほっとしている」と安堵(あんど)の笑み。

 2010年に仕事中の事故で右腕に障害を負ったが、ウルトラマラソンや、山道を走るトレイルランニングの舞台で活躍してきた。19年からパラ陸上にも足を踏み入れ、20年にクラス分け認定を受けたが、コロナ禍で大会が相次いで中止に。今年2月のびわ湖毎日マラソンで公認記録を得てようやく大舞台への切符をつかみ、実力を証明した。

 日本選手で初めてT46クラスのマラソンに出場し、メダルを獲得。37歳のマルチランナーは、「この競技を知って目指してくれたら、日本や競技全体のレベルも上がる。アピールの一つとして、第一歩を踏み込めたのは光栄」と語った。

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視覚障害T12の堀越、4度目の出場で待望のメダル

 男子マラソン(視覚障害T12)の堀越信司(NTT西日本)が3位となり、4度目のパラリンピックで悲願のメダルを獲得した。

 終盤に上り坂が待つコース。堀越は前半から飛ばしたい気持ちを抑え、マイペースでレースを進めた。35キロ地点では6位だったが、余力があった分、そこからの5キロで一気にメダル圏内に浮上。「粘って取れた銅メダル。海外勢も気になったけど、自分のことに集中して取り組んだのがよかった」と表情を崩した。

 2013年に東京大会の開催が決まってからの8年間は、苦しいことばかりだったと明かす。前回のリオデジャネイロ大会は4位でメダルを逃す悔しさを味わった。待ち焦がれた大一番で会心の走りを見せ、「走り始めて21年、競技人生の中で今が一番うれしい」と実感を込めた。