39歳大矢勇気、苦難乗り越えてつかんだ銀メダル
車いす100m、どん底からはい上がり臨んだ初舞台で輝き
苦難を乗り越えてたどり着いた初のパラリンピックで、39歳が輝いた。大矢勇気(ニッセイ・ニュークリエーション)が男子100メートル(車いすT52)で銀メダル。「最高の舞台に立たせていただいて、感謝の気持ちでいっぱい」。しみじみと語った。
雨の中でのレース。得意のスタートで手が滑り、「焦りが出た」。それでも加速して先頭へ。金メダルが見えてきた後半、力強く伸びてきた隣のレーンのレーモンド・マーティン(米国)が視界に入り、0・19秒差で屈した。
夜間高校に通っていた16歳の時、ビル解体業の仕事中の転落事故で、脊髄を損傷した。2011年に母が亡くなり、12年ロンドン大会の代表選考会は棄権。床ずれによる骨髄炎を発症し、16年リオデジャネイロ大会にも出場できなかった。「引退しないといけないのかな」と弱気にもなったが、どん底からはい上がってきた。
練習を手伝ってくれた兄の忠洋さん、岩見一平コーチと共に鍛錬を重ねて臨んだ初舞台。「アドバイス通りに練習したことで結果が出せた。感謝している」。成長を続ける苦労人は、まだまだ走り続ける。