池袋暴走事故の遺族「前を向くきっかけに」


禁錮5年の実刑判決、飯塚幸三被告に控訴断念と謝罪要望

池袋暴走事故の遺族「前を向くきっかけに」

池袋暴走事故で飯塚幸三被告が禁錮5年の実刑判決となった後、記者会見する遺族の松永拓也さん(右)=2日午後、東京都千代田区

 池袋暴走事故で妻の真菜さん=当時(31)=と娘の莉子ちゃん=同(3)=を失った松永拓也さん(35)らは2日午後、飯塚幸三被告(90)への東京地裁判決後に記者会見。被告に誠実な謝罪を求めた裁判所の姿勢を評価し、「救われる気持ちになったので感謝している。少しでも前を向いて生きていくきっかけになる」と語った。

 法廷で涙が止まらなかったという松永さんは「一つの区切りでもあり、いろんな感情があって被告にまで目がいかなかった」と説明。2人の命が戻らないむなしさを覚えつつ、被害者参加制度を使って裁判に関わったことを「やって良かった」と受け止めた。

 過失を否定し続けた被告に対しては、控訴を断念し、謝罪することを要望。これまでに罪を認めた上での謝罪の言葉はなく、「ラストチャンスだと思う」と話した。

 真菜さんの父の上原義教さん(64)も「私たちの心を苦しめる控訴だけはしないでほしい」と強調。禁錮5年の判決については「正直に言うと短過ぎる。ただ、人は間違うし、私にだって過ちがある」と自らに言い聞かせるように声を絞り出した。

 夜も寝付けない日が続いたという上原さん。「この2年、私たちは苦しんできた。(事故で肉親を亡くす)当事者になって経験しないと理解できないと思う」と話した。