和田伸也が陸上1500mで銀、トラックで集大成


直線勝負をもがき苦しんで制す、2個目のメダルに達成感

和田伸也が陸上1500mで銀、トラックで集大成

陸上男子1500㍍(視覚障害T11)で銀メダルを獲得した和田伸也(左)。右はガイドの長谷部匠=31日、国立競技場

 2016年リオデジャネイロ大会は「勝負にならなかった」と振り返る。あれから5年。

 44歳となった和田伸也(長瀬産業)が、男子1500メートル(視覚障害T11)で銀メダルを獲得した。5000メートルの銅に続く表彰台に「全部出し切った」と達成感に浸った。

 世界新で優勝したブラジル選手がハイペースで飛ばしても惑わされない。2、3番手で自分の走りに徹し、「ラスト300(メートル)に賭けよう」。最後の直線では、ロシア・パラリンピック委員会(RPC)選手との競り合いを「もがき苦しんで」制した。

 12年ロンドン大会銅メダリストは、リオでメダルを逃した。18年からは「命の恩人」と感謝する所属先の社長の理解もあり、競技に専念。よりレベルの高い練習環境を求め、今年は実業団チームの中央発條陸上競技部の練習にも参加した。

 網膜色素変性症で視力を失い、31歳で競技を始めてからは、多くの市民ランナーに伴走してもらいながら第一線で活躍してきた。トラック種目でのパラリンピック出場は今回が最後と決めており、「いい締めくくりができてよかった」。

 決勝進出選手でただ一人の40代は「もう44歳だけど、そんな年になったんだな、と忘れていたぐらい」と笑った。衰え知らずのベテランは、9月5日のマラソンにも出場する。