和田伸也が陸上1500mで銀、トラックで集大成
直線勝負をもがき苦しんで制す、2個目のメダルに達成感
2016年リオデジャネイロ大会は「勝負にならなかった」と振り返る。あれから5年。
44歳となった和田伸也(長瀬産業)が、男子1500メートル(視覚障害T11)で銀メダルを獲得した。5000メートルの銅に続く表彰台に「全部出し切った」と達成感に浸った。
世界新で優勝したブラジル選手がハイペースで飛ばしても惑わされない。2、3番手で自分の走りに徹し、「ラスト300(メートル)に賭けよう」。最後の直線では、ロシア・パラリンピック委員会(RPC)選手との競り合いを「もがき苦しんで」制した。
12年ロンドン大会銅メダリストは、リオでメダルを逃した。18年からは「命の恩人」と感謝する所属先の社長の理解もあり、競技に専念。よりレベルの高い練習環境を求め、今年は実業団チームの中央発條陸上競技部の練習にも参加した。
網膜色素変性症で視力を失い、31歳で競技を始めてからは、多くの市民ランナーに伴走してもらいながら第一線で活躍してきた。トラック種目でのパラリンピック出場は今回が最後と決めており、「いい締めくくりができてよかった」。
決勝進出選手でただ一人の40代は「もう44歳だけど、そんな年になったんだな、と忘れていたぐらい」と笑った。衰え知らずのベテランは、9月5日のマラソンにも出場する。