トライアスロン金の米選手、アフガンの兵士思う
アフガンで爆発物処理を担当、爆発で両目の視力失う
アフガニスタン駐留米軍の撤収期限を控える中、10年前に現地で爆発に巻き込まれて視力を失った元米海軍士官が28日、東京パラリンピックで金メダルに輝いた。トライアスロン男子(視覚障害)のブラッド・スナイダー選手(37)。今は米国にとって「困難な時」と認めつつ、競技でベストを尽くした。
アフガンで爆発物処理を担当していた2011年9月、27歳だったスナイダー選手は簡易爆弾(IED)のさく裂で両目の視力を失った。リハビリ後、競泳でパラリンピックに挑戦。悲劇から1年後、12年のロンドン大会で金メダル2個、16年のリオデジャネイロ大会で金メダル3個という強さを見せた。
東京大会ではトライアスロンに初出場した。得意のスイムで弾みをつけてバイクとランを走り抜き、1時間1分16秒で優勝。米メディアによると、トライアスロン男子の金メダルは五輪を含めても米国初で、伴走したガイドと喜びを共有した。表彰台には、銅メダルの米岡聡選手らも上った。
26日に首都カブールで爆弾テロがあり、米兵13人が犠牲となったばかり。スナイダー選手は米軍準機関紙「星条旗新聞」の取材で、兵士を気遣った。「(イスラム主義組織タリバンによる権力掌握で)一歩後退したが、アフガンの人々がいつか自由と民主主義を経験するよう望む」とも強調。「自分は楽観しているし、仲間も同じだと願いたい」と語った。(時事)