智弁和歌山、伝統の強打で「智弁対決」制す


「持ち味の全員野球が出せた」、ライバル校の存在で成長

智弁和歌山、伝統の強打で「智弁対決」制す

21年ぶり3度目の優勝を果たし、喜ぶ智弁和歌山の選手ら=29日、甲子園

智弁和歌山、伝統の強打で「智弁対決」制す

6回表智弁和歌山1死一、三塁、宮坂(中央)が適時打を放つ=29日、甲子園

 伝統の強打を決勝の舞台で存分に発揮した。智弁和歌山は16安打で9得点と打線がつながり、21年ぶりの頂点にたどり着いた。系列校同士の「智弁対決」に快勝して優勝旗を手にした宮坂主将は「持ち味の全員野球がこの大会で出せた」と充実感を漂わせた。

 チームに勢いをもたらしたのは、やはり今大会好調の1番、宮坂だった。「出塁することだけを考えて打席に入った」。プレーボール直後の1球目を振り抜き、鋭いライナーで中堅手の頭を越える二塁打。智弁学園のエース、西村の出はなをくじくことに成功した。すると後続も次々と高めのボールを捉える。一回のうちに5安打を集めて4点を先取。一気に主導権を握った。

 強力打線ができあがった背景にはライバル校の存在がある。最速150キロ超の好投手、小園を擁する市和歌山に昨秋は敗れた。その小園を攻略すべく打撃練習に励み、夏は地方大会決勝で市和歌山を下して甲子園出場。これにより「チームの自信になり、思い切ったスイングになった」と中谷監督は分析する。

 相手校への敬意も忘れない。最後の打者を三振に仕留めて優勝を決めても、ナインはベンチから駆け出すことも、マウンドに歓喜の輪をつくることもせず、すぐに平然と整列した。校歌を歌い、スタンドの学校関係者にあいさつを終えると、初めて喜びを爆発させた。「相手チームもいる。礼に始まり、礼に終わってから」と宮坂。王者にふさわしい姿だった。