「大きな挑戦だった」野口聡一さんとの一問一答


船内最年長でも第一線で活躍、新しい宇宙船にも挑戦

「大きな挑戦だった」野口聡一さんとの一問一答

インタビューに応じる宇宙飛行士の野口聡一さん=7月12日、東京都千代田区の宇宙航空研究開発機構(JAXA)

「大きな挑戦だった」野口聡一さんとの一問一答

インタビューに応じる宇宙飛行士の野口聡一さん=7月12日、東京都千代田区の宇宙航空研究開発機構(JAXA)東京事務所

 国際宇宙ステーション(ISS)長期滞在を終えた野口聡一さん(56)との一問一答は次の通り。

 ――「挑戦」をテーマに据えた3回目の飛行。最も大きかった挑戦は。

 最初は最年少で、周りのベテランから教わることばかりだった。2回目は3人の中でちょうど真ん中。今回は最年長で、まだ船外活動ができるのかと(思った)。訓練はしていたが、自信があるというだけではなく、米航空宇宙局(NASA)から「この人は船外に出しても大丈夫だ」と思われないといけない。年齢を超えて第一線でやれるということが大きな挑戦だった。もう一つは新しい宇宙船(クルードラゴン)への挑戦。運用初号機ということで、未知の領域がある宇宙船だったが、多様性に富んだクルーで無事に運用を終わらせることができた。

 ――3種類の帰還方法と15年ぶりの船外活動がギネス世界記録に認定された。

 結果的に二つの挑戦でギネス世界記録に認定してもらった。飛行前は誰かに認定してもらうとは思っていなかったので、分かりやすい形でお墨付きをもらえたのは非常にうれしい。

 ――米ヴァージン・ギャラクティックも試験飛行に成功。民間企業の進出が本格化した。

 時代の変わり目というのがある。いろいろな宇宙開発企業がそれぞれのやり方で宇宙を征服していく。きっと大航海時代もそうだったと思うが、機が熟すと一気に増える。今まさに「民間宇宙企業時代」を目の当たりにしているのではないか。

 ――これらの企業には引退したベテラン宇宙飛行士も参加している。

 私はまだ現役を続けるつもりだが、われわれのキャリアをうまく生かしていただくという意味で、ニーズは増えるのではないか。手が届くような価格で宇宙飛行が販売されるようになれば、ごく自然な流れで、これまでの私の経験を買ってくれる旅行会社が出てきてくれるといい。

 ――次の目標は。

 もちろん今後も宇宙に挑戦していくが、私が4回目を飛ぶことよりは、油井亀美也飛行士の世代が2回目を早く飛ぶ方が重要だと思う。彼らの2回目が早く回ることが、これから募集される宇宙飛行士の飛行機会にもつながっていくはずだ。