東京オリパラを契機にバリアフリー化が進展


招致から8年、コロナで失速も、識者「さらなる法改正を」

東京オリパラを契機にバリアフリー化が進展

JR新宿駅の東口と西口を結ぶ通路。車いす利用者の利便性が向上した=2020年7月、東京都新宿区

 四肢や視覚などに障害を抱えた選手が活躍を続ける東京パラリンピック。招致決定から8年がたち、国内の公共交通機関や宿泊施設のバリアフリー化には進展が見られるが、新型コロナウイルスの感染拡大で整備が「後回し」になったものもある。専門家らは関連法の不十分さと障害への理解の促進を課題に挙げる。

 「オリパラがなければ全く違う国だった」。障害者団体「DPI日本会議」事務局長で、9歳から車いすを利用する佐藤聡さん(54)はハード面の進展をこう評価する。

 バリアフリー法は招致決定後の2018年と20年、2度にわたって改正され、鉄道駅は規模に応じ、複数のバリアフリー経路の整備とエレベーターの大型化が義務付けられた。南口からしかホームにたどり着けなかったJR新宿駅(東京都新宿区)で東口、西口からのルートが確保されたのが「象徴的だった」という。

 大会を契機に環境改善が加速したといい、「大会後もいい流れが続いてほしい」と願う。

 ホテルや旅館などの宿泊施設。車いす対応客室の設置基準が見直され、業界団体によると、インバウンド需要が増加していた19年末までは各施設が積極的にバリアフリー化を進めた。しかし、コロナウイルスのまん延で需要が落ち込むと、取り組みは失速。国の政策も感染の拡大防止に重心が移り、「優先順位が変わって後回しにせざるを得なくなった」(業界団体関係者)という。

 バリアフリーに詳しい東洋大の川内美彦客員研究員は、商業施設内にある飲食店などについて、「入り口までの経路はバリアフリーでも、中には段差がある」と指摘。小規模店内部の整備を義務付けた規定はなく、「移動できる権利は人権だ」と、さらなる法改正の必要性を訴える。

 DPI日本会議の佐藤さんは「進展はあるものの、街の人が車いす移動を助ける場面はそれほど増えていない印象だ。移動手段が限られていることを広く理解してほしい」と話している。