パラスポーツ、障害を抱える選手を技術で支援
「共生」社会の実現を目指して日本企業の協賛が増加
連日熱戦が繰り広げられている東京パラリンピック。障害を抱える選手を陰で支えているのが、日本企業の技術力だ。「共生」社会の実現に向け、パラスポーツへの協賛も増えている。「人間と道具の共同作業」(メーカー関係者)の盛り上がりは、障害者雇用やダイバーシティー(多様性)重視の流れを一段と加速させそうだ。
「少しでも活躍の後押しになったのなら非常にうれしい」。26日の競泳男子400メートル自由形(視覚障害S11)で銀メダルを獲得した富田宇宙選手が使うのは、山本光学(大阪府東大阪市)が開発した「ブラックゴーグル」。完全遮光で競技の公平性を担保した。同社は「選手の要望を受けて作ったもの。損得ではない」と話す。
ミズノは今仙技術研究所(岐阜県各務原市)と競技用義足板ばね「KATANAΣ(カタナシグマ)」を共同開発。本体に穴を設けることで、空気抵抗を3割削減した。陸上女子100メートルなどに出場する高桑早生選手に提供する。ミズノは「すべての人がより高い身体機能を得て、アクティブで豊かな世界をつくれれば」と期待する。
このほかブリヂストンは車いすテニス用タイヤや競技用義足のゴムソールを開発。パナソニックは腕や腰の負担を軽減するパワーアシストスーツを提供、パワーリフティングのプレート(重り)着脱などに一役買っている。
インフラ面での支援や整備も進む。JR東海はパラリンピックに合わせ、車いすで利用しやすいよう東京駅の東海道新幹線プラットホームと車両乗降口の段差を縮小。住宅設備大手LIXILは、トヨタ自動車と共同開発した車いす対応の移動式「モバイルトイレ」を競技会場などに設置する。
パラスポーツへの協賛も増えている。日本生命保険は女子車いすバスケットボールを支援、ボールの寄付などを続ける。NECは車いすテニスに加えボッチャにも協賛。「誰もが当たり前に活躍できる真の共生社会」の一助を担いたい考えだ。