見せた粘りの「真骨頂」、周囲に感謝の銀メダル
遅咲きの32歳、競泳の富田宇宙選手が喜びかみしめる
遅咲きの32歳が、初のパラリンピックで銀メダルを手にした。富田宇宙(日体大大学院)が男子400メートル自由形(視覚障害S11)で2位。「たくさんの人に支えていただいて、皆さんからプレゼントをいただいたという気持ち」と目を潤ませた。
鈴木孝幸が金メダルに輝いた後で臨んだレース。「自分も続いて、日本チームに勢いをつけるぞ」。気合を入れて前半から飛ばした。200メートルのターン以降は必死に2番手を守り、「最後の100(メートル)は死ぬかと思った」と振り返ったほどの力泳。「僕の真骨頂」と表現する粘りを見せた。
少年時代はその名の通り、宇宙飛行士を夢見ていたが、16歳の時に網膜色素変性症を患い断念。それでも活力を失わず、大学時代は競技ダンスに取り組んだ。パラ競泳では2015年から国際大会に出場。前回の16年リオデジャネイロ大会後に全盲のS11クラスと判定され、メダルを狙える存在となった。
開会式では、パラリンピック旗を運ぶ大役を果たした。自国開催の大舞台で表彰台に立ち、「自分が障害を負った意味が、この瞬間にあったのかなと。メダルをいただいて、そういう実感が湧いてきた」。しみじみと喜びをかみしめた。