兄と英霊に祈り、最年長の参列遺族・長屋さん
身体の弱い兄がなぜ戦地に、英霊を継承し戦争反対を訴える
全国戦没者追悼式に参列した遺族の中で最年長者の長屋昭次さん(94)は、式典前の共同記者会見に出席し、「兄と特攻隊で犠牲になった英霊に祈りたい」と、追悼式にかける思いを語った。
生まれつき体の弱かった8歳上の兄・保さんは、1942年、23歳の時、物資を運ぶ輜重(しちょう)兵として入隊。終戦後の45年12月、中国の天津にある病院で肺結核で病死した。昭次さんは「なぜあれほど身体の弱い兄が戦地に赴かなければならなかったのかと、哀れで兄を思うと必ず泣いてしまう」と話した。
昭次さんも終戦前の2年間、陸軍の少年飛行兵として訓練を受けていた。朝鮮半島の蔚山で終戦を迎えた。「英霊に対して生きている者ができることは、追悼しかない」と語る。遺族会の高齢化は避けられないが、次世代には「英霊を継承し、戦争は絶対にしてはいけないと訴え続けたい」という。
例年であれば、北海道からは数十人の遺族が参加していたが、今回はコロナ禍で昭次さん一人のみであった。「正直、感染の不安もあったが、追悼式には必ず参加したかった。早く通常に戻ってほしい」と気持ちを述べた。