動き硬かった空手組手の植草歩、メダルに届かず
トレードマークの笑顔が消え、悔し涙「夢の舞台に感謝」
トレードマークの笑顔が消え、悔し涙が頬を伝った。植草は「自分を信じて応援してくれた方のためにも優勝したかった。勝てなかったことを、本当に申し訳なく思っている」。
立ち上がりから動きが硬く、最初の2戦を落とした。続く2戦は吹っ切れたように上段突きや得意の中段突きで攻めまくり、2勝を挙げて巻き返した。しかし、1次リーグ4位で敗退。「(重圧が)あった。日本の方々に空手の魅力を伝えたかったけど…」。精いっぱい、声を振り絞った。
五輪がなかったら、数年前には引退していた。追加競技入りに向けた活動では、「空手界の顔」として活躍。周囲の注目を力に変え、2016年世界選手権で初優勝した。だが、今年に入って指導者からのパワハラ行為があったと訴えて騒動になり、落ち着いて練習できないこともあった。
「五輪が近づくにつれて、苦しいこともたくさんあった。でも、コロナ下で夢の舞台に立たせていただいたことに感謝している」。最初で最後かもしれない五輪で、29歳の挑戦は志半ばで終わった。