空手・組手のエース荒賀龍太郎、最低限の仕事
磨き上げた技を出す前の動き、目標の金には届かず銅
組手の男女6階級のうち、5階級でメダルを逃していた日本。最終種目の男子最重量級で、エースの荒賀が銅メダルを獲得した。敗れた仲間たちからは「頑張って」「応援している」と声を掛けられ、「メダルなしでは帰れない」と強い気持ちで臨んだ大一番。最低限の仕事は果たした。
ただ、道場を営む父を持つ「申し子」が目指していたのは金メダルだけ。だから、涙が止まらなかった。「最後の最後で、自分の空手をさせてもらえなかった」。1次リーグでは持ち味のスピードを存分に生かした攻めを見せながら、準決勝は足技を多用する相手に戸惑って手数が減り、後手に回って0-2で敗れた。
2016年の世界選手権で優勝後、ライバルに研究されて勝てないことも増えた。悔しさを糧に、磨き上げたのが技を出す前の動き。この日もフェイントからの突きを決めるなど、進化した姿も示せた。
初めて五輪で実施された空手。「素晴らしい経験をさせていただいた」。30歳は感謝と悔しさを胸に、集大成に位置づけた舞台を去る。