準決勝で韓国破る、山田哲人が金へ王手の決勝打
走者一掃打で勝負強さを発揮、投手陣は北京の反省を生かす
宿敵韓国との緊迫した準決勝。同点で迎えた八回だった。今大会好調の1番山田のバットが勝利をたぐり寄せた。2死満塁から初球を振り抜き、左中間フェンス直撃の走者一掃二塁打。山田は二塁ベース上で力強く両手を突き上げた。
「1球目から打つと決めていた。速い直球を仕留めるぞという気持ちだった。しっかり芯で捉えることができた」。2019年11月の国際大会、プレミア12決勝の韓国戦でも本塁打を放っており、またも勝負強さを発揮した。
日本には北京五輪での苦い記憶がある。韓国との準決勝で同点の八回に、岩瀬が李承燁に内角球を捉えられ、右翼を守っていた稲葉の頭上を越える決勝2ランとなった。指揮官となっても「あれは今でも忘れない」と振り返る。
捕手を務めていたのが阪神の矢野監督。東京五輪前のプロ野球視察で対面し、当時の話になった。「内角に構えて内角に来たけど、矢野監督が言っていたのは、本当は内角高めに投げて詰まらせたかったと。でも低めに行ってしまい、打たれた。意思統一ができなかったと言っていた」
稲葉監督は反省を生かし、バッテリー間の考えの共有、一球の大切さをチームに十分に浸透させ、今大会を迎えた。
甲斐は山本に一回のピンチで低めに投げるように何度もジェスチャーし、六回には4番打者を2ストライクに追い込んでからでもマウンドに出向いて、意思疎通を図る場面があった。投手陣が13年前の教訓を生かして、踏ん張りを見せたことが山田の一打につながった。