橋本大輝が自信の鉄棒でも金、誕生日の前祝いに


他の選手の失敗続くなか完璧な着地、ただ一人の15点台

 

橋本大輝が自信の鉄棒でも金、誕生日の前祝いに

体操の男子種目別鉄棒決勝で演技する橋本大輝=3日、有明体操競技場

 日本の新たなエースが今大会最後の演技でも強さを誇示した。着地を決めるといつもより控えめなガッツポーズながら、勝利を確信したように笑顔を見せた。

 「一番Dスコアが高いのに、一番失敗する気がしない」というほど自信を持つ得意種目。決勝は8人中7番目の演技だったが、他の選手が高難度の演技構成に変えて失敗が続き、「やりにくい雰囲気だな。いつも通りを出すのが難しいのかな」。個人総合とはまた違う、一発勝負の種目別決勝独特の空気を感じていた。

 直前にはスルビッチ(クロアチア)が手放し技を連続で決める構成を成功させ、14・900点をマークした。それでも「人は人、と切り替えて演技した」。序盤の手放し技、カッシーナとコールマンの連続実施は回避し、この大会で4度目となる演技構成を確実に、かつダイナミックに決めていく。「(スルビッチに)勝つには着地を完璧に決めないといけないと思った」とフィニッシュはぴたり。失敗が許されない演技を通し切り、ただ一人15点台に乗せた。

 今月7日で20歳になる前に最高の形で初の五輪を終えた。「10代の最後の週に、自分にいいプレゼントを贈ることができた」と世界に名を知らしめた大会を振り返った。

 団体総合の連覇こそ果たせなかったが、内村でさえも成し遂げられなかった初出場での金メダル、それも個人総合と鉄棒の2冠も達成。鉄棒を得意とするオールラウンダーは内村にも重なる系譜だが、「航平さんは何度も世界王者になっている。自分は土俵の1段目を上っただけ。同じ立場とは言えない」と先を見据える。今大会中、「自分はチャレンジャー」と自らに言い聞かせるように口にしてきた。世界の体操界に自身の強さを見せる挑戦は、これからも続いていく。