日本男子サッカー、三たび断たれた決勝への道
強敵スペインに延長で0-1、激闘の末に力尽きる
日本が五輪で過去2度はね返された準決勝の舞台。目標が金メダルである以上、強敵スペインは倒さなければいけない相手だった。激闘の末に、三たび決勝への道を断たれ、「選手たち、スタッフの努力を結果につなげられず残念」。森保監督の声はかれていた。
どんな強豪国でも、スペインを相手にボール支配で上回ることは難しい。「うまかったし、強かった」と久保。7月17日の強化試合とは違う顔を見せた相手に狭いエリアを突かれ、日本は迫力あるプレスにも押された。
攻守の要、遠藤航が試合のポイントに挙げていたのは「こぼれ球、五分五分のボールをしっかりマイボールにしていくこと」。少ない機会から相手の背後へ蹴り出し、久保、堂安を走らせて速攻から勝機を探る割り切った戦いに出た。
後半に入って吉田のスライディングでPKを与えたかに思われたが、VARで取り消しに。まだツキはあった。GK谷の再三の好守もあって無得点のまま、互いに2試合連続の延長戦に突入した。
疲れの見えた相手に対し、中山の左クロスからつくった決定機で、前田のシュートはわずかに枠外へ。延長後半、日本が猛攻を仕掛けた直後に、要注意人物のアセンシオにやられ、谷は「単純に相手が上だった」。試合終了の笛。相手が歓喜に沸く中、天を仰いだ。
久保は試合後、体育座りしてピッチを見詰めた。「出せるものは全部出したので涙も出てこない。あと一歩及ばなかった」。「史上最高」の称号を手にする夢は消えたが、銅メダルを懸けた相手は、前回獲得した53年前と同じメキシコ。「メダリストとして終わりたい」と吉田。まだ戦いは終わっていない。