寺内健選手、日本人最多6度目の五輪を終える


板飛び込み決勝に進出し12位、総立ちの拍手に「感動」

寺内健選手、日本人最多6度目の五輪を終える

男子板飛び込み決勝、1本目の演技をする寺内健=3日、東京アクアティクスセンター

 最後の演技を終える。得点が発表される前に、観客席に陣取った各国の選手やコーチが総立ちで拍手した。夏季競技の日本選手で最多に並ぶ6度目の五輪出場となった飛び込み男子の寺内健選手(40)=ミキハウス=。その歩みを知る世界の関係者からのスタンディングオベーションに「感動しかない。ここまで長く挑戦してきてよかった」。感無量の様子だった。

 午前の板飛び込み準決勝で会心の演技を見せて13年ぶりに決勝進出。決勝は最下位と悔しい結果に終わったが、世界のトップ12人しか進めない舞台で堂々と戦った。小学5年生の頃から指導を受ける馬淵崇英コーチには「何も恥じることはない。積み重ねてきたからこそ、ここで戦えているんだから」と褒められた。

 初めての五輪は15歳で出た1996年アトランタ大会。そこから4大会連続で出場し、2009年には引退した。2年間はスポーツ用品メーカーに勤めて試合会場で販売などを行っていたが、日本飛び込み界初の五輪メダリストになる夢を諦められず復帰した。

 昨夏は新型コロナウイルスに感染。入院時に必死で対応に当たる医師や看護師の姿を目の当たりにした。五輪をやっている場合なのかと葛藤もあったという。だが、「選手一人一人が感染防止を考えながら行動して、これだけの規模で大会をしてクラスター(感染者集団)が出なかったとき、コロナに対する新しい向き合い方が生まれるかもしれない」との希望を持って大会に臨んだ。

 7日で41歳になる。来年5月には福岡で世界選手権があり、次のパリ五輪は24年。「生半可な気持ちで、来年の世界水泳をやりますとは言えない。真剣にいろいろ考えていきたい」。今後についてはじっくり考えるつもりだ。