「伸び代の天井が見えない」陸上・三浦龍司選手


「大きな目標」決勝進出を軽々と達成、堂々の7位入賞

「伸び代の天井が見えない」陸上・三浦龍司選手

陸上男子3000㍍障害予選で力走する三浦龍司選手(中央手前)=7月30日、国立競技場(EPA時事)

 陸上男子3000メートル障害決勝に挑んだ三浦龍司選手(19)=順天堂大=。予選は自身の日本記録を6秒以上更新する、全体2番目のタイムで通過した。「伸び代の天井が見えない」。次々と記録を塗り替えてきた逸材は決勝ではタイムを落としたが、堂々の7位入賞を果たした。

 陸上を始めたのは小学生の頃。島根県浜田市の陸上教室で指導した上ケ迫定夫さん(67)は「走る楽しさを感じてくれるように」と全種目に挑戦させ、トラック競技だけでなく地域のマラソン大会などにも出場させた。さまざまな種目を経験することで、スピードと持久力が自然と備わった。

 特にハードルの技術と長距離の強さに光るものを感じた上ケ迫さんは、3000メートル障害を勧めた。陸上教室の練習場所には水濠(すいごう)がないため、高校入学後に始めることを2人で決めた。

 「サンショー」と通称される種目を、「小学生の頃は知らなかった」と話す三浦選手。だが洛南高校(京都府)で本格的に取り組むと、独特のレース特性や戦略の立て方に楽しさを感じた。「あまり浸透していない競技だが、自分が記録を残すことで注目され、面白さに気付いてもらうことがうれしい」と話す。

 昨年春、新型コロナウイルスの影響で一時帰省した三浦選手は、教室の子供たちの指導を買って出た。予選のレース後、上ケ迫さんが受け取ったメールには、地元からの応援への感謝の言葉がつづられていた。

 上ケ迫さんは「皆の思いを力に変えながら走れる、周りにも優しい子。想像を超える成長ぶりで、伸び代の天井が見えない」と話す。

 「皆がおめでとうと言ってくれるような結果で帰って来たい」。大会前、「大きな目標」と語っていた決勝進出を軽々と達成した19歳は、レース後、「走り切った」と胸を張った。