まん延防止下の札幌、マラソン観戦対策強化へ
他競技は密、自粛「限界」も、スタッフ2000人を配置
全国的に新型コロナウイルスの感染が急拡大する中、札幌市で5~8日、東京五輪の競歩とマラソンが行われる。さらなる感染の広がりが懸念される中、大会組織委員会や北海道は沿道での観戦自粛要請を強化。特にマラソンは日本で抜群の人気と注目度を誇り、多くの人が押し寄せる可能性がある。ただ、公道の観覧規制は困難で、人出の抑制には「限界がある」との声も上がる。
五輪は大半の会場で無観客となったが、公道を使う屋外競技では選手を間近で一目見ようと「密」が発生。東京都や神奈川、静岡両県など複数の自治体を通過する自転車ロードレースや、都内で行われたトライアスロンでは沿道に多くの観客の姿が見られた。
ロードレースが行われた東京・府中市では7月24日、コース沿いの歩道が大混雑に。東京には緊急事態宣言が発令されており、市はスタッフ約250人を動員して人が滞留しないよう現地で観戦自粛を求めた。同市担当者は「無観客開催となり、少しでも選手を見たいという心情だと思う」と話しつつ「一般公道で『禁止』はできず、要請には限界がある」。
マラソンは大会最後の8月7、8日に実施。札幌市中心部の大通公園発着で、繁華街ススキノなど名所を巡る。5月のテスト大会では自粛を呼び掛けるスタッフ約700人を配置。全体的に人はまばらだったが、一部で混雑した。
そのため本番では、約3倍の2000人程度に増員し、大通公園付近や道庁敷地内などは立ち入り禁止にする。ただ、歩道を含め「全面的に規制するわけにはいかない」(森泰夫・組織委大会運営局次長)のが実情だ。
道内は、札幌市を中心に新規感染者が急増し、宣言に準じる「まん延防止等重点措置」が適用。鈴木直道知事は「五輪開催を契機として拡大することがないようにしなければならない」と述べており、花形競技で感染を広げずに大会を締めくくれるか、対策徹底が求められる。