ボクシング女子入江聖奈、巧みな戦いで決勝へ
判定3-2で際どい勝負をものに、金メダルまであと1勝
女子フェザー級の決勝進出を告げる勝利のアナウンスを聞いた入江は、飛び跳ねて喜んだ。「期待して負けたら悲しいので、負けただろうなと思っていた」。5人のジャッジ全員が1点差での3-2の判定勝ち。際どい勝負をものにし、リング上で素直に感情が出た。
本人は「がむしゃらだった」と振り返る戦いぶりには、巧みさもあった。スピードのあるジャブで主導権を握り、相手のパンチをかわして右ストレートを当てた1回は、ジャッジ全員が入江を支持。2回は接近戦に持ち込まれてリズムを乱され、3回には左の強打に苦しんだ。それでも丁寧に距離は保って応戦し、完全にペースを渡すことは許さなかった。
ボクシングは小学生の時に漫画の影響で始めた。2013年に東京五輪開催が決まっても、自分には関係ないと思っていた。日本代表となって金メダル獲得を公言したが、それも自らを鼓舞するためだった。
正直に「自信がなかった」と打ち明ける金メダル獲得まであと1勝に迫った。決勝で戦うペテシオは、20年のアジア・オセアニア予選で下している。「倒してやるという強い気持ちで、右ストレートを打ち込みたい」。自分らしく、積み重ねた練習の成果を拳に込め、頂点を取る。