男子100m山県亮太、0秒03差に泣き予選敗退
中盤で離され本来の実力を出せず、400mリレーでは金へ
男子100メートルで9秒95の日本記録保持者となり、3度目の五輪に挑んだ山県。「いつもこういう大舞台は、やはり特別な気持ちがある」。引き締まった表情でスタートラインに立ったが、はかなくもファイナリストの夢は予選で散った。
武器の一つであるスタートはまずまずの飛び出し。しかし、中盤でどんどん離され、10秒15の3組4着にとどまった。着順で通過できる3着のタイム、記録で拾われる準決勝への通過ラインまで、ともに0秒03届かずに敗退。「納得いく走りではなかった。何かが違うんだろうな」。原因が分からない様子で振り返った。
2019、20年は度重なる故障に苦しみ、引退まで頭をよぎった。殻を破るために今季は変化を求め、専属のコーチを初めてつけた。客観的な助言も生かして走りを磨き、6月に念願の9秒台に突入。苦難を乗り越えて立った五輪で、本来の実力を出せなかった。
12年ロンドン、16年リオデジャネイロは2大会連続で準決勝に進み、本番で自己記録を塗り替えた。自国の晴れ舞台で日本選手団主将の大役も任され、「走る場所を与えてもらったことに感謝して、ベストを尽くしたい」と誓っていた。
期待された日本勢89年ぶりの決勝進出はかなわなかったが、悔しさを晴らすチャンスは残っている。前回銀メダルを取った400メートルリレーに向けて、「リレーは違うものになる。独自のイメージトレーニングを擦り合わせて準備したい」。気持ちを切り替え、日本短距離のエースとして金メダル獲得に突き進む。