悲願のライバル対決、再び「2人で戦え幸せ」


競泳の萩野公介、瀬戸大也両選手が男子200m個メで対決

悲願のライバル対決、再び「2人で戦え幸せ」

競泳男子200㍍個人メドレー決勝を終えた瀬戸大也選手(左)と萩野公介選手=30日、東京アクアティクスセンター(時事)

 苦しんだライバル同士が、五輪の決勝レースで再び相まみえた。競泳男子200メートル個人メドレーの瀬戸大也(27)=TEAM DAIYA=、萩野公介(26)=ブリヂストン=両選手。「夢の舞台で、2人で戦えて幸せ」。互いをたたえ、プールで抱き合った2人からは、すがすがしい笑顔があふれた。

 同学年で共に個人メドレーが主戦場。小学生の頃から互いを意識し、しのぎを削ってきた。瀬戸選手の母一美さん(54)は「目標にできる選手が近くにいることは、大也にとってありがたかった」と話す。

 初めてそろって出場したリオデジャネイロ五輪では、400メートル個人メドレーで萩野選手が金、瀬戸選手が銅メダルを獲得。直接対決に敗れた瀬戸選手は、「この悔しさは五輪でしか返せない」と東京での雪辱に闘志を燃やした。

 リオ五輪後、萩野選手は苦しんだ。けがをきっかけに不調となり、2019年春に休養を発表。対する瀬戸選手は順調に実績を積み重ねたが、昨年10月、女性問題で活動停止処分に。復帰後も自身の泳ぎを取り戻せずにいた萩野選手は、「現時点で彼の足元にも及ばない。また会った時、恥ずかしくないレースをしたい」とライバルの復活を待った。

 曲折を経て戻った五輪の舞台。メダルには届かなかったが、電光掲示板を見上げた2人の表情は晴れやかだった。互いに歩み寄ると手を取り、抱き合った。「メダルは取れなかったが、それ以上に幸せ」と語る瀬戸選手の言葉に、萩野選手は何度もうなずいた。