母と特訓し培った技でつかんだ女子個人初メダル


伊藤美誠選手の力の礎に、納得いくまで続けた「訓練」

ドローンで配達「空飛ぶ牛丼」、実用化に期待

卓球女子シングルス準決勝で中国選手と対戦する伊藤美誠選手=29日、東京体育館(時事)

 卓球女子シングルスで、個人では日本女子初となる銅メダルに輝いた伊藤美誠選手(20)=スターツ=。力の礎になっているのが、幼い頃から母、美乃りさんと重ねた厳しい研さんの日々だ。親子で培った技術と精神力で、混合ダブルスに続くメダルを獲得した。

 2歳で「卓球をやりたい」と言いだした伊藤選手は、教えずとも腰をひねって回転の利いた球を打ち返した。卓球選手だった美乃りさんは娘に才能を感じ、すぐ競技用の道具を買い与え、専属コーチとなることを決意。4歳からは自宅に卓球台を据え、「訓練」と呼ぶ猛練習を始めた。

 「訓練」は納得がいくまで終わらない。学校から帰ると自宅で練習してから卓球クラブへ行き、さらに帰宅後も遅くまで反復した。何種類もの球種やコースを100球ずつ打ち、失敗すればやり直し。終わった時には祖父母の作った夕食は冷え切っていた。

 「練習中は親としての感情を封印し、鬼になった」と話す美乃りさんだが、終われば抱き締め愛情を伝えた。遠征費を稼ぐため早朝から練習前まで三つの仕事を掛け持ちし、高熱が出ても練習相手は休まなかった。

 伊藤選手は、時に涙を流しながらも食らい付いた。負けず嫌いの娘に、美乃りさんは「やるなら世界一。一緒にチャンピオンになろう」と声を掛け続けた。トップ選手となった今も、付きっきりで食事面や体のケアをサポートする。

 3位決定戦の勝利にも満足せず、悔し涙を流した伊藤選手。小学校の作文に「2016年には(五輪)出場して、20年には団体、個人で優勝したい」と書いた。団体で夢を現実にする。