競泳の武良竜也選手、逆境めげず堂々の7位入賞
所属契約解除でバイト生活、肌で感じた応援のありがたみ
競泳男子200メートル平泳ぎの武良竜也選手(25)=ミキハウス=。一時は所属契約を打ち切られ、アルバイトしながら練習に励んだ苦労人。目標のメダルには届かなかったが、「苦しい時に応援してくれた人に恩返しを」との気持ちで決勝の舞台を泳ぎ切り、堂々の7位入賞を果たした。
新型コロナウイルスの影響で東京五輪が延期となった2020年3月、武良選手は所属先を失った。引退が頭をよぎったが、五輪は子供の頃からの夢。親とコーチから引き留められ、バイトと競技の両立を決めた。
スイミングクラブでの指導に、電話営業や梱包(こんぽう)作業。練習時間が減り葛藤したが、決意は変わらなかった。今年4月、接戦を制して五輪の切符を手にした。
新しい所属先も決まり順風に恵まれたかに思えたが、さらなる試練が。5月にコロナ感染が判明。症状は軽かったが、プールに3週間入れなかった。
逆境にあらがい闘い続けるのは、「五輪への気持ちが誰にも負けない」ため。苦しかった1年間を「応援のありがたみを肌で感じ、財産になった」と前向きに捉える。
その実直さは少年時代から。米子北高(鳥取県)で3年間担任だった豊島健大さん(38)によると、武良選手は3年間無遅刻・無欠席。2年の文化祭ではクラスで制作した動画の脚本を担当し、放課後も準備に当たった。「練習が忙しくても言い訳はしなかった」と振り返る。
メダル獲得を逃し「悔しい」と語ったが、「決勝の舞台は競技人生の糧になる」と前を向いた。挑戦は続く。