サーフィンの五十嵐カノア、悔いなき銀メダル


勝負を分けた位置取り、サーフィンの楽しさを多くの人に

サーフィンの五十嵐カノア、悔いなき銀メダル

C:サーフィン男子決勝の五十嵐カノア=27日、千葉・釣ケ崎海岸(AFP時事)

サーフィンの五十嵐カノア、悔いなき銀メダル

サーフィン 主な技の見どころ(時事)

 狙っていた色のメダルには、惜しくも届かなかった。それでも、全力で頂点を目指してきた過程に悔いはない。

 五十嵐は表彰式で銀メダルを手に取り、じっと眺めた。「いいサーフィンを見せられて、日本のためにメダルを取れたことは本当にうれしい。みんなに見てもらったことは一生忘れない」。敗戦直後に感じた絶望は、メダルの重みで和らいでいた。

 技の難易度や独創性が採点され、高得点の2度の合計で争う。一つの技は10点満点。台風の影響で海が荒れて難しいコンディションの中、準決勝では高く跳び上がる大技「エアリアル」を決めて9・33点の高得点をマーク。ブラジルの強敵メジナを終盤で逆転し、銀メダル以上が確定した。

 決勝の相手は2019年世界王者のフェヘイラ。五十嵐は序盤で小技を続けてリードを奪ったが、大きなターンを何度も決めた相手に逆転された。その後はいい波に恵まれないまま、35分間の制限時間が終了。位置取りがうまくいかず、「ミスしてしまった。それがサーフィンの難しいところ」。自然が舞台となる競技は、運を味方につけることも重要になる。

 日本人の両親を持ち、米カリフォルニア州で生まれた。英語、ポルトガル語、スペイン語も操る23歳は、母国開催の五輪を通じてサーフィンの楽しさを多くの人に伝えた。「カノアを見てサーフィンをしたくなる人、うれしくなった人が一人でもいれば幸せ。メダルよりも大切かな」。3年後のパリ五輪で金メダルを取りにいくことは、もう決めている。