ソフトボール主将・山田恵里、決勝へ導く一打


重圧を乗り越え本来の巧打を発揮、銀メダル以上が確定

ソフトボール主将・山田恵里、決勝へ導く一打

カナダ戦の延長8回、サヨナラ適時打を放つ山田=25日、横浜スタジアム(時事)

 13年ぶりに戻ってきた五輪で、銀メダル以上が確定。決めたのは北京の金メダルを知る主将の一振りだった。0-0でもつれ込んだ延長戦にけりをつけた山田は「やっとチームの一員になれた」。歓喜の輪の中心で、喜びを爆発させた。

 無死二塁から始まるタイブレークの八回。犠打で1死三塁となってから、敬遠二つで塁が埋まって打席が回ってきた。「(満塁で)回ってくるイメージがあった。自分が絶対に決めてやる気持ちだった」。2ボールからの3球目、甘く入ってきた球を鮮やかに二遊間へ打ち返した。

 試合前までは苦しみの中にいた。「プレッシャーはものすごく重い。楽しみは全然なくて、怖さしかない」。エースの上野とともに3度目の五輪に臨む37歳。舞台の重みを知るがゆえに、大会前から必要以上に身構えてしまっていた。3試合を終えて1安打。守備でも、22日のメキシコ戦で正面の飛球を落として失点につながった場面(記録は適時打)があった。

 「怖くてつらくて仕方なかったけど、何とか結果を出したい思いできょうは会場に来た」。二回と七回にも安打を放って3安打。追い込まれた末に、「女イチロー」とも評される本来の巧打を発揮した。

 24日が2014年に亡くなった父の命日だった。「こういう形で打てたことはよかった」。1日遅れとなったが、地元の神奈川で活躍を届けた。