卓球混合ダブルス、水谷・伊藤組が決勝へ進出


準々決勝の窮地に水谷の底力、準決勝ではらしさを発揮

卓球混合ダブルス、水谷・伊藤組が決勝へ進出

混合ダブルス準決勝の水谷隼(左)、伊藤美誠組=25日、東京体育館(時事)

 新種目の混合ダブルスで水谷、伊藤ペアが金メダルに王手をかけた。同じ静岡県磐田市出身で、互いを知り尽くしたコンビ。準決勝でらしさを存分に発揮した。

 伊藤が多彩なサービスや独特のバックハンドレシーブを見せれば、水谷は力強いフォアハンドに加え、相手の嫌な部分を突く味のある攻撃。着々と得点を重ね、台湾ペアを難なく退けた。「自分たちらしくてよかった」。伊藤は笑顔で言った。

 メダルまで最大のヤマ場は、一つ前の準々決勝にあった。パワーのあるドイツペアに苦しめられ、第7ゲームでは2-9と絶望的な点差。それでも「奇跡を起こせると信じていた。絶対に勝てる自信は持ち続けていた」(水谷)。4大会連続出場のベテランが鬼気迫る表情でこん身のフォアを次々に打ち込み、12歳下の伊藤を鼓舞して何度も声をかけた。

 7点差を追い付き、7度のマッチポイントをしのぎ、最後は伊藤がここ一番のサービスを繰り出して勝利をつかんだ。「水谷選手と組んだから勝てた。諦めない気持ち。顔つきもそうだし」。準々決勝後の伊藤の目から涙がこぼれた。普段は勝ち気な性格の伊藤が引っ張ることが多いが、水谷が底力を見せた。

 日本協会は2020年1月、準備期間を増やすため早めにペアを決定した。五輪の卓球は5種目を約2週間かけて行う長丁場。最初の種目で好結果を残せば、打倒中国を掲げる日本チームに弾みがつく。

 26日の決勝では中国ペアに挑む。「150%の力を出してベストを尽くしたい」と水谷が言えば、「すべてを出し切って金メダルを取りにいく」と伊藤。同郷コンビが勝負をかける。