池江璃花子、「運命」に導かれ五輪の舞台に


勝負こだわり絞った400mリレー、世界に復活をアピール

池江璃花子、「運命」に導かれ五輪の舞台に

競泳女子400㍍リレー予選のレースを終えた池江璃花子選手(右から2人目)ら日本チーム=24日、東京アクアティクスセンター(時事)

池江璃花子、「運命」に導かれ五輪の舞台に

競泳の池江璃花子プロフィル(時事)

 くじけそうな闘病生活を乗り越え、退院から1年7カ月。池江が東京五輪の舞台に立った。女子400メートルリレーで、日本代表の一員として世界に復活をアピールした。

 想定外の速さでトップレベルに戻り、出場権を得た2度目の五輪。ただ、16歳で臨んだ2016年リオデジャネイロ大会で「メダルを取らなきゃ意味がない」と実感した池江にとって、もはや五輪に出ただけでは価値が薄い。自らの現状を「個人種目で出ても決勝にはいけない」と冷静に捉え、エントリーをリレーに絞った。「使命感ではないけど、出るなら取りたいという気持ちがある」。必ずやメダル獲得に貢献する覚悟で臨んだ。

 闘病前の体重から一時は15キロ以上も落ちた。懸命のトレーニングや食事の量を増やすことでかなり戻してきたが、飛び込んだ直後のスピードが物足りず、以前に比べれば出遅れる。代表選考会の記録はメンバーで最も速く、セオリーならば第1泳者。メンバー4人で話し合い、池江は中盤以降のスピードを生かせる第2泳者となった。

 大会直前には「1年前では考えられなかった環境にいるけど、これが自分の運命。この五輪に出ることは必然だったのかもしれない」と心境を語った。自分と同じように病に苦しむ人に勇気を与えたいと願う気持ち。そして純粋に水泳を楽しみ、誰よりも速く泳ぎたいという気持ち。東京五輪は、その両方を表現する舞台になった。