歩道埋める人、競技場から上がる花火に「感動」
アスリートの努力が報われてほしい、反対するデモ隊の姿も
無観客となった東京五輪開会式。国立競技場周辺は大規模な交通規制が敷かれたが、会場を望める歩道には多くの人が集まった。有志が沿道に設置したテレビの前には人だかりも。付近では五輪開催に反対するデモも行われ、会場から漏れ聞こえる音響とシュプレヒコールが入り交じった。
「おおーっ」。午後8時すぎ、会場から花火が打ち上がると、競技場西側を通る歩道を埋め尽くした人たちは歓声を上げ、拍手した。約12年間の馬術競技経験があるという森晃一さん(65)は「ついにのろしが上がり、感動した。賛否はあったがアスリートに罪はないので、努力が報われてほしい」と、大会の盛り上がりに期待した。
すぐ横では五輪反対デモの参加者が「今すぐやめろ」と開催中止を拡声器で訴えた。別のデモ隊約200人は、JR原宿駅前から会場最寄りの千駄ケ谷駅までを練り歩いた。
千駄ケ谷駅前にある居酒屋「北前そば高田屋」は、開会式を前に営業を終えた。この日の来客は約20人。マネジャーの平野耕史さん(48)は「有観客でオリンピックが開催されていたら、今ごろお客さまであふれかえっていただろうに」と寂しそうに話した。