京急電鉄の歌う電車、部品交換のため今夏で別れ
発車時にドレミファ音、イベントでファンが別れを惜しむ
京浜急行電鉄の一部電車が発車時に発していた「ドレミファ」という音階のような走行音が、今夏を最後に聞けなくなる。音を出す機器が交換されるためで、「歌う電車」とも呼ばれた車両を使ったイベントが18日実施され、ファンが別れを惜しんだ。
歌う電車の秘密は、電車を動かすモーターの制御装置「インバーター」にある。通常はノイズ音が発生するが、海外メーカーが遊び心で音階が聞こえるように調整。発車時に「ファソラシドレミファ…」と聞こえる仕組みを取り入れた。
京急では1998年に登場した2100形電車に初めて搭載され、2002年から新1000形電車の一部にも使われ、歌う電車は計19編成に上った。
しかし、海外製は部品調達に時間がかかるほか、技術改良で騒音の少ない機器も増え、歌う電車は徐々に減少。最後となった1編成も、今夏に国産インバーターに交換することが決まった。
18日のイベントでは、最後の「歌う電車」が品川駅から神奈川県横須賀市の工場まで走行。工場内の線路で発車と停車を繰り返して「美声」を何度も響かせ、約200人の参加者はカメラで撮影するなどして楽しんだ。
相模原市から参加した小学5年の西山綾人君(10)は「良く聞こえたが、最後なので寂しい」とぽつり。通勤でよく耳にしたという会社員小林哲也さん(53)=横須賀市=は「技術の進歩を感じるが、もっと聞いていたかった」としみじみ語った。