白鵬が全勝優勝、なりふり構わず照ノ富士を破る
休場明け膝とも闘い完全復活、横綱900勝まであと1勝
さまざまな思いがせきを切ってあふれる。派手なガッツポーズを見せ、顔を紅潮させた白鵬がほえた。「譲れないし、負けられない。この一番に全てを懸けた」。綱とりの照ノ富士との全勝決戦で本領を示した。
互いになかなか腰を割らずに迎えた立ち合い。左手を前に突き出すと、右から強烈なかち上げを見舞った。張り手の応酬に「激しい中でも冷静さがあった」。相手の右腕を抱え、強引な小手投げで土俵にはわせた。
3月に右膝の手術を受けた頃は、「二度と土俵に上がれないのかと思った」。進退を懸けて臨んだ今場所。序盤戦は慎重な取り口が多く、「いつ膝が駄目になるか分からなかった。肉体的にも精神的にも追い込まれていた」。14日目の正代戦は立ち合いで奇策に出た。千秋楽の一番では感情をむき出しに。横綱らしからぬ、なりふり構わない姿だった。
45度の優勝の中で、6場所ものブランクは初めて。36歳での賜杯獲得は、年6場所制では千代の富士の35歳5カ月を抜く横綱の最年長記録になった。自身を復活に駆り立てた原動力には、6場所続けて休場していた力士の優勝がなかったことも頭にあったという。
「今度は横綱900勝を目指していきたい。あと1勝」。そして、「これで前に進める」と言って、次の一歩を踏み出した。