事件発生から2年、皮膚提供者の確保に課題
京アニ放火で被害者を救う、関係団体が協力を呼び掛け
36人が犠牲となった京都アニメーション放火殺人事件は、18日で発生から2年を迎える。事件では、凍結保存されていた第三者の皮膚がやけどを負った被害者の治療に使われた。ただ、死後の皮膚提供に同意するドナーは減少が続き、保存・供給を担う団体は「患者の命を救う上で、皮膚移植は欠かせない」として協力を呼び掛けている。
事件では、殺人罪などで起訴された青葉真司被告(43)が第1スタジオ内でガソリンをまいて放火。負傷者も32人に上り、一般社団法人日本スキンバンクネットワーク(JSBN)は特にやけどがひどかった被害者2人に皮膚を供給した。複数回の移植を行い、うち1人は一命を取り留めた。
JSBNは、ドナーが亡くなった後、12時間以内に皮膚を採取し、零下190度で凍結保存。約80カ所の医療機関からの要請に応じ、広範囲のやけどで生命が危ぶまれる患者に供給している。
しかし、皮膚の提供に不可欠なドナーは年々減少している。2008年は40人から提供されたが、20年は3人にとどまった。皮膚の採取に当たり、遺族の承諾を得るコーディネーターの確保が資金不足などから難航しているのが要因という。
チーフコーディネーターの青木大さん(44)は「重症のやけど患者が出た時にいつでも対応できるように十分な量の皮膚を保存する必要がある」と指摘。死後に皮膚を提供する意思がある人は、「運転免許証の裏面や臓器提供意思表示カードにその旨を記載してほしい」と話している。