熱海土石流の捜索が難航、泥と苦闘する隊員ら
捜索隊の行く手を阻む大量の泥、重機が入れず手作業が続く
静岡県熱海市伊豆山地区の土石流災害現場では、発生から10日以上を経ても捜索活動が難航している。14日までに11人の死亡が確認され、なお16人が行方不明のままだ。急斜面を通る狭い道路には大量の泥がたまり、捜索隊の行く手を阻む。「かいてもかいても、という感じ」。隊員らは手作業での苦闘について語る。
14日までに取材に応じた消防隊員らによると、水分を多く含んだ土砂に腰まで漬かりながら、手作業でかき出す作業が続いている。急斜面で階段が多く、道路は土砂や材木で寸断されているため、重機を入れるのが難しい。土石流の衝撃で地形が変わっており、現場へ向かうにはえぐれた場所を埋める作業も必要という。
「自然災害の怖さを感じた」と話す名古屋市消防局特別消防隊の石井伸也消防士長は、住宅街を埋め尽くす大量の泥を前にして「どこから手を付ければいいのか分からなかった」と活動当初を振り返った。東京消防庁即応対処部隊の五味雄一郎隊員は「ただの土砂ではない。家財道具なども泥に混ざっていてスコップは使えないので、手が一番役に立った」と話した。
熱海市によると、重機を現場に入れるため、地面に石を敷き詰めスロープを造る作業を進めている。ただ、ダンプカーで大量の土砂を搬出できるようにするには、さらに1週間ほどかかるという。