熱海土石流災害で、同級生に「早く帰って来て」


高橋勝代さんが中学校の同級生で安否不明の友人を思う

熱海土石流災害で、同級生に「早く帰って来て」

静岡県熱海市の土石流災害で、所在が分からなくなっている小川徹さん(左)と太田洋子さん(高橋勝代さん提供・時事)(一部、画像処理しています)

 静岡県熱海市の伊豆山地区を襲った土石流災害は7日で発生から4日以上が経過したが、依然として20人を超える住民らの安否が分からず、懸命の捜索活動が続けられている。同市の高橋勝代さん(71)は、県が公表した所在不明者リストに載る友人の小川徹さんと太田洋子さんを思い、「つらくて悲しい。早く家族と私たちの元に帰って来てほしい」と話す。

 高橋さんと2人は小中学校の同級生。数年前からは仲の良い小学校の同級生同士で定期的に集まるようになり、新年会やバーベキューを開き交流を続けてきた。「明るくてリーダーシップがあり、みんなのまとめ役」の小川さんは、会合の企画をサポートしてくれていた。お酒が好きで飲むとよく笑い、朗らかになるという。

 高橋さんと遠い親戚関係にあるという太田さんは、「物静かで口数は少ないが、しっかり者」。昨年の秋ごろ夫を亡くしてからは1人暮らしで、近所に住む高橋さんの兄、昇さん(80)が時折訪ねていた。

 昇さんによると、太田さんは自宅を訪れていた妹を送り出して家に戻った際、土石流に押し流されたとみられる。その直前に携帯へ電話したが、つながらなかったという。被災の数日前に「最近、昇ちゃんは電話もしないし来もしないね」と話していたと人づてに聞き、昇さんは「会いたかったのかな」とつぶやいた。

 高橋さんが最後に2人と会ったのは昨年2月の新年会。おいしい食事と他愛もない会話を楽しみ、「今度はバーベキューだね」といつも通り別れた。新型コロナウイルスの影響でその後は集まれなかったが、高齢者のワクチン接種も進み、「そろそろ会える」と再会を楽しみにしていた。

 「今、どんな状態でいるんだろう。本当に早く助けてあげたい」。高橋さんは声を詰まらせた。