西日本豪雨から3年、新防災拠点が広島で開所


「ちゅうちょなく避難を」、バリアフリー化されペットも可

西日本豪雨から3年、新防災拠点が広島で開所

熊野東防災交流センターのペット対応エリア。手前が犬用、奥が猫用のスペース=6月22日、広島県熊野町・時事)

西日本豪雨から3年、新防災拠点が広島で開所

熊野東防災交流センターの内部。2階の柵の内側スロープは外とつながっており、車いすで入れる。1階の給湯設備の奥に授乳室と子供用トイレがある=6月22日、広島県熊野町(時事)

 甚大な被害をもたらした西日本豪雨から3年となるのを前に、土石流で12人が犠牲となった広島県熊野町で新防災拠点「熊野東防災交流センター」が開所した。「ちゅうちょなく逃げ込んでほしい」とバリアフリー化され、ペットを連れて避難できる。町防災安全課の花岡秀城課長は「逃げ遅れの犠牲者を二度と出したくない」と話す。

 センターは6月1日に開所。鉄筋コンクリート2階建てで、最大500人を受け入れる。大型倉庫にはアレルギー対応の保存食などが備蓄されている。

 乳幼児や小さい子供がいる住民らの声を受け、1階に授乳室や子供用トイレなどが設置された。公的な避難所としては珍しいペット対応エリアもあり、ケージに入れた犬や猫など30匹を収容。散歩させたり、遊ばせたりできる約100平方メートルの屋外スペースも併設されている。

 花岡課長や横山大治センター長らによると、建設に向け、住民や地元の小学校、高校とワークショップを繰り返し、「避難をちゅうちょする要因を最大限取り除いた」という。

 「一度も行ったことのない所には避難しにくい」と横山センター長。平時は地域コミュニティーの場として開放しており、「何もないときに気軽に足を運んでほしい」と話す。

 三村裕史町長は「外部の視点も取り入れ、防災・減災の体制づくりに取り組んできた」と強調。町は22年度末までに、さらに2カ所に同様の施設を整備する予定だ。