平和な世をつくろう、中学生が自作の詩を朗読


沖縄全戦没者追悼式で「みるく世の謳」、民謡から着想

平和な世をつくろう、中学生が自作の詩を朗読

沖縄全戦没者追悼式で自作の詩を朗読する宮古島市立西辺中2年の上原美春さん=23日午後、沖縄県糸満市の平和祈念公園(時事)

 「みるく世(ゆ)ぬなうらば世や直れ」。23日の「慰霊の日」追悼式で自作の詩「みるく世(ゆ)の謳(うた)」を朗読した宮古島市立西辺中学2年の上原美春さん(13)は、島の方言で「みんなの生活が良くなりますように」と歌われた民謡「豊年の歌」の一節を引用し、「今を生きる私たちで、平和な世(みるく世)をつくろう」との思いを込めた。

 「豊年の歌」は、祖父がたびたび三線で弾き語りするうちに、上原さん自身も大好きになった。悲しみやつらさをそのまま表現しない、明るく強い歌詞から、戦争当時の状況を想像して「当時の人々も、大好きな歌がつらさを乗り越えるパワーになったかもしれない」と考えた。

 詩の冒頭に登場するめいが2年前に生まれ、泣いているのをあやしながら「戦争中だったら大変だっただろうね」と家族と会話をした際、「赤ちゃんが大きな声で泣き、それを笑顔であやせる今は、当たり前じゃない」と気付いた。

 沖縄戦から76年がたった現在、コロナ禍で日常の当たり前を奪われた。悲惨さに大きな違いがあるとはいえ、今だからこそ「言い争いでなく思いやりの心が大事だ」と感じ、詩をこう締めくくった。「みるく世を創るのはここにいるわたし達だ」