「強い違和感」、毎日新聞のあおむし風刺画に抗議


「はらぺこIOC」と題された作品、絵本版元の偕成社が抗議

「強い違和感」、毎日新聞のあおむし風刺画に抗議

毎日新聞の6月5日付朝刊に掲載された風刺画(時事)


 
 5月に死去した米国の絵本作家、エリック・カールさんの代表作「はらぺこあおむし」の出版を手掛ける偕成社は9日までに、同作をモチーフにした風刺画が毎日新聞に掲載されたことについて、「強い違和感を感じざるを得ない」と抗議する文書を公表した。

 「はらぺこIOC(あいおーしー)」と題されたこの風刺画は、イラストレーターよこたしぎさんの作品で、今月5日付朝刊の経済面に掲載された。バッハ会長ら国際オリンピック委員会(IOC)幹部の顔をした「あおむし」が、放映権と書かれた「ゴリンの実」をかじっている様子が描かれ、「エリック・カールさんを偲(しの)んで」との一文が添えられている。

 偕成社は今月7日付で、今村正樹社長名の文書を公式サイトに掲載。「風刺の意図は明らかで、表現の自由の点から異議を申し立てる筋合いではない」とした上で、作品の楽しさは「あおむしのどこまでも健康的な食欲と、それに共感する子どもたち自身の『食べたい、成長したい』という欲求にある」と指摘。「金銭的な利権への欲望を風刺するにはまったく不適当」と訴えた。

 毎日新聞社社長室は風刺画の意図について、「肥大化するIOCに対する皮肉を表現した作品」と説明。「今回のご指摘を真摯(しんし)に受け止め、今後の紙面作りに生かしてまいります」とコメントした。