田辺聖子さんの日記が見つかる、終戦前後に執筆
文芸春秋が発表、大阪大空襲の被害や作家の夢をつづる
文芸春秋は8日、一昨年に91歳で死去した作家の田辺聖子さんが終戦前後に執筆した日記が見つかったと発表した。遺族が兵庫県伊丹市の自宅を整理中、「十八歳の日の記録」と題された日記を発見したという。
同社によると、日記の日付は田辺さんが17歳になって間もない1945年4月1日から、18歳だった47年3月10日まで。大阪大空襲の翌日に「生れて、そして十八の年まで育った、あの美しい、古い家! それが二、三時間の中に、夢のように消えて、灰になってしまうということがあり得るであろうか」と嘆き、終戦の日には「何事ぞ! 悲憤慷慨(こうがい)その極(きわみ)を知らず、痛恨の涙滂沱(ぼうだ)として流れ肺腑(はいふ)はえぐらるるばかりである」と記している。
一方、46年の大みそかには「来年も、勉強して小説を書こう。私はもう、この道しか、進むべき道はない」と、作家になる夢をつづっている。
日記は10日発売の「文芸春秋」7月号に掲載される。