コオロギ食品の人気が上昇、フードロス削減へ


徳島大学発ベンチャーが開発、クッキーの通販も開始

コオロギ食品の人気が上昇、フードロス削減へ

コオロギの粉末を配合したクッキーなどの新商品(グリラス提供・時事)

 徳島大学発のベンチャー企業「グリラス」(徳島県鳴門市)が、コオロギを使った食品の開発に取り組んでいる。昨年発売したせんべいは売り切れ続出。「虫の日」の4日、コオロギ粉末を5~10%配合したクッキーなどの通信販売も始め、昆虫食の普及を目指す。

 コオロギには、豊富なたんぱく質に加えミネラルや食物繊維が含まれる。成虫まで約1カ月と成長が早く、飼育に必要な水も少なくて済む。廃棄食材や規格外の野菜を餌にできるため、フードロス削減につながる「未来食」として期待される。

 同社は2019年の設立以来、コオロギの飼育システムや食品化の研究を続ける。昨年5月、生活雑貨店「無印良品」を展開する良品計画と共同開発した「コオロギせんべい」を発売。エビのような香ばしさが虫を苦手とする人にも受け入れられ、ヒット商品となった。

 コオロギ粉末を使った調味料も開発中で、給餌や清掃を自動化し、数年以内に養殖能力を月10トンと現在の約25倍に増強する計画だ。

 昆虫食の普及には、国際機関も期待を寄せる。国連食糧農業機関(FAO)によると、動物性たんぱく質の供給源となる家畜の生産が世界の人口増加に追い付かず、25年から30年ごろには、たんぱく質不足に陥ると懸念されるためだ。

 昆虫食は環境負荷の少ない持続可能な食料となり得る。グリラスの担当者は「食糧問題を考えてもらうためにも、まずは商品を手に取ってほしい」と話している。