「待ちに待った結果」、登録勧告に広がる喜び
「縄文遺跡群」の地元自治体に地元を誇りに思える知らせ
「北海道・北東北の縄文遺跡群」の世界文化遺産への登録が勧告された26日、対象の遺跡がある自治体は喜びに沸いた。国連教育科学文化機関(ユネスコ)の暫定リストに掲載された2009年以降、待ち続けた関係者は、新型コロナウイルス禍の中での明るい話題に顔をほころばせた。
御所野遺跡(岩手県一戸町)の調査に30年以上携わってきた、御所野縄文博物館の高田和徳館長(71)は「本当に良かった。一般の人にも遺跡の価値を理解してもらえるよう、これからもさまざまな試みをしたい」と語った。ボランティアガイドを約5年務めている小山田四一さん(70)は「SDGs(持続可能な開発目標)が注目されているが、自然を活用した縄文時代の暮らしから学び、現代に生かせると伝えたい」と力を込めた。
大湯環状列石(秋田県鹿角市)の隣で出土品を展示する大湯ストーンサークル館の花ノ木正彦館長(53)は「待ちに待った結果。1万年に及ぶ生活様式が認められた」と喜んだ。同館で市民ガイドを務める奈良祐治さん(63)は「これがゴールではない。争いがなく自然と共生した縄文時代の魅力を伝えたい」と意気込んだ。
北黄金貝塚(北海道伊達市)のボランティアガイド矢元信一さん(71)は「数年前から気をもんでいたので一安心」とほっとした様子。NPO法人「だて観光協会」の横山恭文専務理事(64)は「市中心部には観光スポットがなかった。歴史・文化を伝える貝塚が観光の起爆剤となることを期待したい」と声を弾ませた。
三内丸山遺跡(青森市)のボランティアガイド団体代表、一町田工さん(83)は「遺跡を世界に向かって発信できるのはうれしい。遺跡ごとの個性をより伝えていく責任が生まれる」。小牧野遺跡(同市)の保存活用協議会の竹中富之代表理事(56)は「暗い話題が多い中、地元を誇りに思える知らせだ」と語った。