遠藤、技量は健在、下手投げで照ノ富士を破る


「自分から攻めた」、千秋楽に初優勝への望みをつなぐ

遠藤、技量は健在、下手投げで照ノ富士を破る

遠藤(奥)は下手投げで照ノ富士を破る=22日、東京・両国国技館(時事)

 長い協議の行方を、館内のファンが固唾をのんで見守った。行司差し違えで軍配を受けた遠藤は、「よかった」と心の中でつぶやいた。照ノ富士の14日目での優勝を阻止。少し表情を崩し、いたずらっぽく舌を見せて勝ち名乗りを受けた。

 盤石の相撲が目立つ大関にうまさで対抗した。もろ差しを果たして攻め立てた後、右の差し手を返し、相手得意の上手は引かせない。土俵際で強引に小手投げを打たれたものの、深く取った右下手からの投げで抵抗。持ち前の柔軟性も生かして耐えると、照ノ富士の右腕がわずかに先についた。「自分から攻めないと駄目だと思った。しっかりできてよかった」

 「遠藤が最高の相撲を取った。大殊勲だ」とは八角理事長(元横綱北勝海)。先場所は左脚のけがで途中から休み、膝に抱える古傷との闘いも続いている。「きょうも一日無事に終わった」と遠藤。万全とはいえない体でも、30歳の類いまれな技量は健在だ。

 貴景勝、照ノ富士の2大関を連破。初優勝への望みをつなぎ、「そんなにぴんとこないが、最後もしっかりと集中してやるだけ」。千秋楽に組まれた正代戦でも、土俵を沸かせてくれそうだ。