聖戦組織がテロ呼び掛け、新型コロナは「神の怒り」
「イスラム国」(IS)などの過激派組織は、新型コロナウイルスの感染拡大は「神の怒り」だと主張し、各国の政府・軍が対策に追われている今が攻撃のチャンスとして、テロの実行を支持者らに呼び掛けている。
このところ、アフリカ、中東、アフガニスタンでテロが増加。アフガンのカブールで25日にシーク教寺院が攻撃を受け、20人以上が死亡した。アフリカのナイジェリア、チャドなどでも過激派の活動が活発化している。
ジョージタウン大学「過激派に関する計画」の責任者、アレクサンダー・メラグルーヒッチェンズ氏によると、聖戦主義者らは感染拡大を「不信心者と聖戦の義務を放棄したイスラム教徒に対する神の怒り」と主張。「西側世界の関心は現在、新型コロナウイルスに向かっているため、テロ対策能力は低下している可能性がある」として、聖戦の強化を訴えている。
また、ISは、欧米諸国への攻撃で「社会的混乱を引き起こし、経済の崩壊を引き起こせる可能性がある」とみているという。
米シンクタンク「民主主義防衛財団」のテロ専門家ビル・ロッジオ氏は、感染拡大に乗じてテロが増加する可能性が最も高いのはアフリカだと指摘した。同氏は「活発に活動するイスラム主義反政府組織、テロ対策能力が低い政府、限られた医療資源」が感染拡大とテロの増加を招くと主張。「中でも、マリ、ニジェール、チャドで感染が深刻化すれば、テロ対策は手薄になり、安全保障の真空地帯ができ、IS、アルカイダなどが攻撃を強化する可能性がある」と警告している。
ナイジェリア、チャドでは、活動が鎮静化していたイスラム過激派ボコ・ハラムが今月下旬になって2件の大規模テロを実行し、両国で150人近い兵士が死亡している。
(ワシントン・タイムズ特約)