平和守る日米韓安保協力

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 去る10月1日、韓国では建軍65周年「国軍の日」記念行事が行われた。午前の式典で朴槿恵大統領は「核と大量破壊武器に対する対応能力を早急に確保して強力な対北抑止力を構築する」と述べた。

 韓国動乱の休戦60周年、韓米同盟60周年とも重なり、ソウル市内で10年ぶりに歴代最大規模の軍事パレードも行われた。先端型の巡航ミサイル「玄武(ヒョンム)3C」も登場。北朝鮮全域の目標を精密に打撃できる玄武3Cは射程1500㌔㍍の長距離巡航ミサイルである。韓国海軍は駆逐艦や潜水艦にも射程1500㌔㍍の韓国版トマホーク巡航ミサイル(天龍3)を搭載している。これら陸、海軍の長距離巡航ミサイルは既にマスコミに公開されている。

 今回、「国軍の日」式典に米国防長官として初めてヘーゲル長官が参席したことの意義は大きい。さらに意義深いのは、長距離巡航ミサイルを軍事パレードで公開して北朝鮮の指導部や核・ミサイル施設を的確に打撃できる能力を示したことである。また、山の裏側に隠した北朝鮮の長射程砲を捉え攻撃する「スパイクミサイル」は既に西北諸島に実戦配備された。核を持っていない韓国としては、「韓国版ミサイル防衛システム」構築など完璧な対北抑止力を早急に整えるべき時期に直面している。

 現代戦は在来戦のような“消耗戦”でなく、領土拡張を主とする“不動産争奪戦争”でもない。巡航ミサイルや無人機を飛ばしてGPS誘導で敵の重要目標・施設をピンポイントで攻撃する。さらにEMP爆弾など最新鋭電磁兵器は核爆発を起こさなくとも電磁パルスを発生させ敵の情報通信網をマヒさせる。それで、敵の戦争能力を断ち切ることによって味方の戦争意思を貫徹するのが現代戦の新たな様相に変わるだろう。ちなみに、サイバー戦争は既に陸、海、空、宇宙空間に加えて第5戦場になっている。

 日中韓の経済的なパートナーシップもいいが、「韓米同盟」と「日米同盟」に基づく日米韓安保協力パートナーシップの強化こそ、地域安保を維持して地域平和を守る二本柱に違いない。

(拓殖大学客員研究員・元韓国国防省北韓分析官)