ラグビーW杯、最高峰の熱戦を堪能したい


 アジアで初めてのラグビーのワールドカップ(W杯)日本大会が開幕し、日本は開幕戦でロシアを破って初の8強入りへ好スタートを切った。

 大会には20チームが参加し、11月2日の決勝まで全国12会場で48試合が行われる。世界最高峰の熱戦を堪能したい。

ロシア戦で白星スタート

 ロシア戦では先制を許したものの、3トライを決めた松島幸太朗選手らの活躍で逆転し、30―10で勝利した。日本選手がW杯の舞台で、1人で3トライを奪うのは初めてのことだ。

 ただ地元開催の重圧のせいか、特に前半はミスも多かった。世界ランキング10位の日本にとって20位のロシアは格下の相手だが、それでも相手キックを捕球できずにボールを相手に奪われて先制された。その後も敵陣でボールを落とすシーンが相次ぎ、苦戦を強いられた。

 日本の戦術は、ボールを早く動かすためにパスやキックを多用するというものだ。逆転できたのは、こうした持ち味を生かせたためだろう。松島選手のほか、3本目のトライを決めたラブスカフニ選手や主将のリーチ選手らが見せ場をつくった。

 史上初の3連覇を狙うニュージーランドなど、大会には強豪がそろう。1次リーグは5チームずつ4組に分かれて総当たりで行い、各組上位2チームが10月19日からの決勝トーナメントに進む。1次リーグA組の日本は、28日にアイルランド、10月5日にサモア、13日にスコットランドと対戦する。次の試合に向け、ミスを少なくし、持っている力を存分に発揮できるよう調整してほしい。

 ラグビーW杯は、五輪、サッカーW杯と共に世界3大スポーツ祭典と呼ばれている。だが、今回の日本大会が国民の注目を集めている理由は、これだけではあるまい。

 日本は1987年の第1回大会から9大会連続で出場しているが、2011年のニュージーランド大会までの通算成績は1勝21敗2分けという惨憺(さんたん)たるものだった。ところが15年に開催された前回のイングランド大会では、1次リーグで優勝候補の南アフリカに勝利するなど3勝1敗の好成績を挙げ、あと少しで8強入りというところまで迫った。

 五郎丸歩選手らの活躍は記憶に新しい。松島選手もこの大会で日本の大躍進に貢献した。今大会でも、日本がどこまで勝利できるか楽しみだ。

 日本は来年に東京五輪・パラリンピックを控える。ラグビーW杯は海外から約40万人が訪れるが、渋滞や宿不足への対策など五輪と重なる課題も多い。この大会での経験を、五輪にも生かしていきたい。

日本の8強入りに期待

 日本代表のジャージーは、白地に赤いラインの入った日の丸カラーに桜のエンブレムを胸に抱いたデザインだ。選手の出身国は日本だけでなく、ニュージーランドやオーストラリア、トンガ、南アフリカなどさまざまだが、日本代表としての誇りを持ってプレーしてほしい。

 選手の活躍を通じて国民が一体感を持てるのが、こうしたスポーツ大会のいいところだ。日本の8強入りに期待したい。